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哲学・倫理学専攻

哲学分野

 哲学分野は、文学研究科に設置されて以来一貫して西洋哲学を追求し、日本の哲学研究の中核を担ってきました。哲学は最も古い学問ですが、その長い伝統と先端の両方を兼ね備えているのが本専攻です。哲学のすそ野は広大で、すべてをカバーすることはできませんが、伝統と現代の二点に研究の焦点を定めた点に特徴があります。スタッフは古典研究2名、現代研究4名と、重点的な配置になっています。学生は、修士課程に一学年約10名、後期博士課程に3、4名が在籍し、他大学、他学部からの入学者が半数ほどを占めています。
 本分野の伝統の一つはギリシア・中世の古典研究にあり、プラトン、アリストテレスから中世哲学まで幅広い領域をカバーできる、私立大学では珍しい充実した陣容となっています。そこではギリシア語、アラビア語、ラテン語が飛び交い、哲学の原点にある諸問題が議論されます。もう一つの伝統は、戦後の論理実証主義以来の現代哲学です。この分野では論理学、言語哲学、科学哲学といった分析系の哲学、さらには現象学の研究が進められ、論理的な計算論、統語論や意味論、科学理論の構造、志向性といった現在の諸問題がさまざまに議論されます。
 
大学院の授業は学生が積極的に参加する形式で、自由に履修することができます。修士課程では修士論文、後期博士課程では博士論文という目標があり、多くの学生は学内外での研究に積極的に参加します。学内における三田哲学会の例会や、MIPS(三田哲学会の哲学・倫理学の合同究集会)での発表、機関誌『哲学』への論文執筆等のほか、各々が専門とする学会での発表、論文投稿など、活動の機会は大きく広がっています。一方でさまざまな研究プロジェクトも展開されており、教員スタッフだけでなく、学生の多くもその研究の一端を担う形で参加しています。

倫理学分野

 倫理学分野は、哲学分野とともに長い歴史を有しています。哲学とは別に倫理学を専門分野として設けている大学院は全国でもわずかしかなく、その中でも、本分野は最大規模のスタッフを擁しており、日本における倫理学研究の拠点の一つになっています。
 倫理学分野のスタッフがカバーしているのは、近現代のドイツ、フランス、イギリス、アメリカ、ロシアの思想です。発足以来、この領域に重点を置きながら、スタッフをバランスよく配しています。また、現代の倫理学は規範倫理学・メタ倫理学・応用倫理学に大別されますが、本分野では、規範倫理学はもちろん、メタ倫理学や応用倫理学の研究・教育も行っています。さらに、宗教哲学、社会哲学など、倫理学と密接に関連する領域についても、長年にわたり、研究と教育を行っています。
 
スタッフの具体的な専門分野は、ロシアの宗教思想、中世・近世の形而上学、現代のフランス思想、近代のイギリス倫理思想史、カントの倫理学、医療倫理学、メタ倫理学などです。日本の倫理思想、東洋の倫理思想など、他の領域については、毎年、専門の研究者を講師として招いており、倫理学について広く研究することができます。
 
倫理学分野は少人数教育をとくに重視しています。例年、修士課程には6名程度、後期博士課程には3名程度の大学院生が在籍しており、それぞれの問題関心に従って専門研究を進めています。修士課程では、研究者としての基礎を養い、優れた修士論文を執筆することを目標としています。後期博士課程では、学会や研究会での口頭発表や論文執筆などを通じて、研究者としての能力を高め、研究成果を博士論文としてまとめることを目標にしています。修了者の多くは研究者の道に進みますが、大学院で得た専門知識を活かして社会で活躍する人も数多くいます。

美学美術史学専攻

 慶應義塾における美学美術史学の歴史は、1892(明治25)年に開講された森鷗外の「審美学」にまで遡ります。当初は美学および西洋美術史から出発しましたが、その後、日本・東洋美術史、西洋音楽史、音楽が関わる舞台芸術一般を研究領域に加え、近年は芸術運営、芸術支援などの研究・教育にも積極的に取り組んでいます。
 
すなわち本専攻には、理論研究(美学・芸術学)、歴史研究(美術史・音楽史・舞台芸術史・現代芸術論)、実践研究(アート・マネジメント)の3つの柱があります。2005(平成17)年度には、この3つの柱を下記の2つの分野に集約し、より充実した教育が行える体制を整えました。なお学生は、在籍する分野と異なる分野に設置された科目を一定の範囲内で履修し、修了に必要な単位とすることが可能です。

美学美術史学分野

 美学美術史学分野は、理論研究、歴史研究を行う分野です。美学・芸術学、日本・東洋美術史、西洋美術史、音楽史、舞台芸術史、現代芸術論が研究教育の範囲となります。専任者のほか若干名の非常勤講師が授業を担当し、幅広い分野をカバーしています。修士課程では修士論文の作成が必須です。また、後期博士課程では専門研究者として内外で活躍する人材の養成を目指し、学位論文(課程博士)提出により博士学位を取得する道が用意されています。

アート・マネジメント分野

 アート・マネジメント分野は、芸術運営において必要とされる諸分野の知識、先導的なスキル獲得とプロフェッショナル養成を目標とした分野です。大学卒業後3年以上が経過し、実務経験を有する社会人が対象となります。アート・マネジメント関連科目、アート・マーケティング関連科目、知的資産関連科目、芸術資源デザイン関連科目、アート・プロジェクト関連科目から構成され、専任者のほか各界で活躍する講師が教育にあたります。現在、開設されているのは修士課程のみで、社会人の学生のために平日夜間と土曜に集中して開講しています。修了には修士論文の作成が必須です。

史学専攻

日本史学分野

 史学専攻では、歴史を個々の人間の営為の積み重ねととらえ、歴史を学ぶことは、人間とその生きた社会を知ることと位置づけています。そのために、時には対象とする地域や時間、あるいは、旧来の学問の枠を越え隣接科学の成果も踏まえるなど、より多くの学びを求めています。
 特に日本史学分野では、日本史の研究を国内史に狭くとどめることなく、国際的な視野に立って検討することを重視しています。その例としては、古代東アジア世界における日本、東アジアの交易圏に組み込まれた中世社会、キリシタン時代の地球規模に動く世界と日本の社会との接点、「鎖国」時代の国際関係と国内問題、近現代の激動と日本の社会問題などが挙げられます。
 
いずれにしても学生は、歴史学のもつ広範な領域と方法を学ぶことになるはずです。そして、このような目的を達成するために良質な史料を活用し、それにより実証的な研究を進めるよう指導しています。大学院修了後には、学界などでも広く通用する日本史研究者や博物館学芸員、中学校・高等学校で教鞭をとる歴史教育者を育成できるよう努力しています。
 
授業は5名の専任教員と若干名の非常勤講師が担当しています。修士課程では毎年10科目前後が開講されています。それらは史料講読を中心とする科目(日本史特殊講義演習、古文書学特殊講義)と、講義を中心とする科目(日本史特殊講義)に大別され、修士論文の作成が必修とされています。また、後期博士課程では研究論文の作成支援を行うほか、史料講読を主とする日本史特殊研究が5科目前後開講されています。後期博士課程の学生には、学位論文(課程博士)を提出して博士(史学)の学位を取得する道が開かれています。
 修士課程と後期博士課程はともに、古代から近現代に至るまで各時代の科目を満遍なく開講し、可能な限り多様な対応を試みています。授業はいずれも学生56名前後の少人数で行われ、授業科目によっては史料調査、博物館・文書館・遺跡の見学などを行います。

東洋史学分野

 東洋史が研究の対象とするのは一般的にアジアと呼ばれる地域ですが、問題設定の方法、時代によってはアフリカやヨーロッパもその視野に入ってきます。中東イスラーム世界の歴史研究を志す者にとって、マグリブやバルカンも重要地域であり、華人のネットワークに興味をもつ人は、アジアのみならずアメリカやヨーロッパも視野に入れなければなりません。
 東洋史の魅力は、このような広大な対象地域にあるといっても過言ではありません。しかし、専門性を重視する大学院においては、広く、浅く学ぶというやり方は避けなければなりません。そこで東洋史学分野では、これまでの学問的な伝統と、史料を読むツールとしての語学などとの関係から、以下のように対象を東西二つの領域に分けています。それぞれの領域で完結性の高いカリキュラムを組み、深く学べるようになっています。
 一つ目の領域は、中国を中心とする東アジア史研究です。ここには中国古代史研究と、史料を重視する実証主義史学や文献史学の伝統に基づく、明清から民国期にかけての中国近現代史研究が含まれます。前者は松本信広以来の学統である民俗学の手法を取り入れたもの、後者は明治から大正期にかけて日本を代表する東洋史学者であった、田中萃一郎によって切りひらかれたものです。また、歴史人類学の方法論に基づく、中国から東南アジアにかけて華人がつくった広域的なネットワーク社会の研究も、もう一つの柱になっています。
 二つ目の領域は、アラブ、トルコ、イラン、中央アジアなどの西アジア・中東イスラーム史研究です。かつてこれら諸地域の研究は、中国の辺境史としての位置づけしか与えられてきませんでした。しかし、今では世界をとりまく情勢が変わり、緊急にして最重要な分野として誰もが認めるようになっています。本塾ではこの分野におけるパイオニアである前嶋信次、井筒俊彦の学統を継承しながら、アラブでは社会史研究に、非アラブではオスマン帝国史研究に重点をおきながら研究・教育を行っています。
 以上は教員サイドから見た特徴と言えるものですが、学生は基本的に自分の好きなテーマで研究が行えるようになっています。自分の頭と身体でアジアを知り、師を越えるという気概を持ち、自らの手で新しいフロンティアを探りあて社会に巣立って欲しいという思いがあるからです。そのために、外部から多彩な講師陣を招いて知的刺激の拡充に努める一方、社会に出てから場合によっては欧米系の言葉以上に有力な武器となる、東西のアジア系諸言語を存分に学べるカリキュラムが用意されています。

西洋史学分野

 西洋史学分野の修士課程では、以下に紹介する教員の個別研究分野よりやや広い分野で、一次史料や基礎的研究文献を講読し、基礎知識の獲得を目指します。後期博士課程では、身につけた基礎知識を前提として、さらに高度な研究能力を養成します。そして、学位論文の作成を通じて研究者を育成することを目標とします。西洋史は、時間的・空間的に膨大な領域を対象とします。しかし、学部教育と違い大学院、特に後期博士課程では、学生の研究分野と教員の指導できる分野が近接していなければなりません。そういった意味から、以下に各教員の個別研究分野をやや詳しく紹介しますので、参考にしてください。
 大森雄太郎はイギリス領植民地期北米アメリカ史、特にアメリカ革命の政治思想を専門としています。思想史とは言っても、革命期の細かい一次史料を大量に読むことにより徹底的に実証であろうとする、抽象度の非常に低い思想史です。吉武憲司が専門とするのは、1112世紀イングランドですが、大学院で担当する分野は、中世イングランド全般およびその周辺のイギリス諸島地域です。ただし、イギリスを専門とするにしても大陸史の基礎知識は必須です。神崎忠昭の専門分野は中世教会史で、特にヨーロッパ中世の人々の信心を探ることを目指しています。史料的制約があり庶民を対象とすることは難しいため、8世紀から14世紀にかけての修道士たちが著したラテン語テキストを丹念に読み込んでいます。山道佳子はカタルーニャの近現代政治文化史を専門にしています。現在は18世紀後半から20世紀のバルセローナにおける祭りの変遷をあとづけ、祭りという非日常空間に現れる諸勢力の権力関係、複数の文化や世界観の間に繰り広げられる攻防、および都市の社会生活を明らかにすることを研究テーマとしています。野々瀬浩司は、スイス及び西南ドイツの宗教改革期を対象に、宗教改革の思想的背景、神学上の諸問題、さらには領主—農奴関係の変化などを研究しています。清水明子は、ドイツ、バルカン現代史を専門にしています。現在は、ナチス・ドイツのヨーロッパ広域秩序構想と大クロアチア国民国家建設の接点における、権力関係と社会的変容の再構成に取り組んでいます。

民族学考古学分野

 民族学考古学分野では、フィールドワークに基づいて集積された一次資料を利用して、過去の社会や民族文化の歴史的再構成を行います。主な研究指導対象分野としては、日本の先史考古学、歴史考古学、南レヴァント地方を中心とする西アジア考古学、太平洋地域の考古学・民族学、動物考古学、考古学研究法などが挙げられます。
 大学院教育としては、担当教員による個別の論文指導、および教員、学生全員が参加する演習授業による研究発表および討論が中心となっています。また、教員はそれぞれ専門のフィールドを持っているので、各フィールドの調査に参加し、野外調査の実践および分析、報告の仕方を学ぶことができるほか、学会等における発表も積極的に行われています。
 本分野では、長年の調査で蓄積された豊富な考古・民族資料が保管されているので、それらをもとに研究を進めることも可能です。また、総合大学の研究科として、他学部、他専攻、諸研究所と共同で、アッカド語、ヘブル語などの特殊言語や自然科学的手法、統計的解析手法を習得することもできます。最終的には、独自の研究を仕上げることで、研究に必要な技術をも兼ね備えた総合的リサーチ・デザインを描ける研究者の養成を目指しています。

国文学専攻

国文学分野

 国文学専攻は、日本の文学・言語・文化を総合的且つ専門的に探求する場です。慶應義塾大学では、古くから民俗学的方法と文献学的方法とによって国文学研究が行われてきました。現在の専任教員スタッフは、附属研究所斯道文庫を含めて、文献学的学問を志す者が少なくありませんが、個々の教員の関心は一つの研究方法に止まってはいません。研究対象も、一人の教員が多くの作者・作品・文学的事象に関心を抱いています。
 
国文学の研究対象となる時代は古代から近現代まで、ジャンルは古典に属する和歌・物語から近現代の小説や出版文化に至るまで多種多様です。日本語学も古代語から現代語まで、理論的研究から実証的研究まで多岐に亙ります。国文学専攻では、近年の傾向として、中古物語、中世和歌、絵巻物・絵入り本、近代ジェンダー・セクシュアリティ論、形態音韻・文字表記、日本漢文学といった研究が盛んです。
 
授業は、専任教員・斯道文庫教員・非常勤講師により、それぞれの専門分野を中心として、さまざまな形式で行われています。その多くは、少人数による演習形式を取っています。
 
一方、大学院の行事としては年2回、5月と11月に国文学研究会を開催しています。これは大学院在籍者・出身者による研究発表を中心に、若手研究者の研鑽の場としての役割を果たしています。また、文学系5専攻の運営する藝文学会でも、6月の大会では大学院生による研究発表が行われています。このほか、専任教員の主宰する研究会・読書会も頻繁に開かれています。大学院生の論文発表の場としては、国文学専攻の『三田国文』(年1回)、藝文学会の『藝文研究』(年2回)があります。
 大学院修了後は、中学・高校の教員、大学の教員、公共機関の研究員などの専門職に就く者が圧倒的に多く、民間企業に就職する者は極めて少数です。

日本語教育学分野

 慶應義塾大学における日本語教育は1958(昭和33)年に開始されました。その後1972(昭和47)年、大学院生ならびに修士課程修了者を対象に、日本語教師養成を目的とした「日本語教授法講座」が、本塾国際センターに開設されました。この講座は、2003(平成15)年に改編によって日本語・日本文化教育センター設置「日本語教育学講座」となりますが、約30年にわたり数多くの日本語教育の指導者、研究者を世に送り出してきました。その実績を踏まえ、2007(平成19)年、大学院文学研究科国文学専攻に日本語教育学分野が創設されました。本分野の目的は、高度専門職業人として専門的かつ体系的な知識を備え、優れた教育技能を有する日本語・日本語教育の専門家を養成することにあります。
 
日本語教員を目指す日本人学生、外国人学生の要望に応えるべく設置された本分野は、大学院から日本語教育を目指す人、現場で日本語教育を経験し日本語研究を希望する人、他分野で取得した修士号とあわせ、ダブルディグリーにより日本語教育でも修士号の取得を目指す人たちに対し、広く門戸を開放しています。
 
研究活動は、さまざまな理論を教育現場にどのように生かすか、実践をどのように体系化していくかといった、理論と実践を結びつけることに主眼を置いています。主な教授陣は本塾の留学生教育の拠点である、日本語・日本文化教育センターにおいて日本語教育を行っている教員ですので、講義・演習においても理論に偏らない、教育現場の観点を重視した教育・指導が行われています。定員が少ないというメリットを生かした、きめ細かい指導が可能となっています。また、日本語・日本文化教育センターの協力のもと、日本語教育現場の見学、異文化交流など、教育・研究に結びつくさまざまな経験の機会も設けられています。
 
将来、高度専門職業人としての日本語教育者・研究者を目指す、意欲と熱意のある人をお待ちしています。出願資格、入学試験、カリキュラム、修了要件等は、履修案内と入試要項を参照してください。

中国文学専攻

 中国文学専攻は、「中国古典文学」「中国現代文学」「中国語学」を大きな3本の柱としていますが、中国の歴史、哲学、社会、芸能などを含めた、古代から現代にいたるまでの幅広い中国の文化全般を研究対象としています。
 歴史を遡れば、本専攻は中国文学研究の泰斗・奥野信太郎の学風に導かれ、伝統を形成してきました。専任教員の専門分野は、古典文学、現代文学、語学に分かれています。また、古典詩学、経学、書誌学、日中比較文学などの特殊な研究領域においては、優れた業績と指導力を有する斯界の専門家を非常勤講師として招き、あらゆる領域をカバーできる体制を整えています。
 学生には、本専攻で開講されている科目以外にも、文学研究科他専攻設置科目や、単位交換プログラムの提携を結んでいる早稲田大学および学習院大学文学研究科設置科目などを受講する機会を与え、より広い視野から研究対象を捉えることのできる研究者の育成を目指しています。
 修士課程では、中国文化全般について幅広く学ぶと同時に、自ら選択したテーマを深く掘り下げて追究し、修士論文を作成します。後期博士課程では、修士課程で獲得した基礎知識を土台に、より専門的な研究を行い、学会にその成果を発表します。
 近年の学生の意欲的な姿勢のあらわれとして、在学中に長期留学する傾向が強くなっています。大半の学生が1年ないし2年の留学を経験し、きわめて大きな成果をあげています。留学先は主に中国本土や台湾などで、現地の大学で専門の研究に取り組むほか、中国語運用能力の向上をはかり、また現地での生活を通して中国の風俗、習慣、文化などについての理解を深めています。
 修了後の主な進路は、中学・高校の教員や大学の教員、研究機関の研究者などです。開設以来、中国語の語学教育や中国文学の研究分野で活躍する人材を数多く輩出してきた本専攻ですが、世界における中国の躍進に伴い、今後の展望も大きく開かれています。スタッフ一同、意欲ある皆さんとの出会いを期待しています。

英米文学専攻

 英文学・米文学・英語学及びそれぞれの関係領域を研究対象とする英米文学専攻では、西脇順三郎・厨川文夫の伝統に連なる中世英文学・英語学、大橋吉之輔の衣鉢を継ぐアメリカ文学を中心に、伝統を踏まえながら、現代の最も新しい分野、例えば書物史や現代批評理論なども視野に入れ、国際的な学問的貢献を目指しています。
 修士課程2年間で基本的なディシプリンを積み、後期博士課程の3年間で博士論文を提出できるように、きめ細かな指導を行っています。担当者は教授10名(英文学4名、米文学3名、英語史・言語学など3名)で、他に言語文化研究所の専任所員なども授業を担当しています。多彩なカリキュラム設置科目はすべて選択科目で、学生の研究領域に合わせて指導教員と相談しながら履修するシステムが確立しています。必要に応じて学界の第一線で活躍する学者を講師として迎えます。日本英文学会や関連学会での研究発表、レフェリー制度をもつ学術雑誌への投稿、共同研究に基づく共著の執筆、外国への留学とそこでの学位取得に関するガイダンスの機会も数多くあります。さらに、博士号請求論文のレベルを高く維持するために、しばしば著名な外国人研究者を審査員に招いています。その審査を通過した論文は続々と公刊されています。
 慶應義塾での修士論文が海外で出版されたり、イギリス書誌学会の雑誌に巻頭論文として採用されたり、アメリカの代表的な作家論集シリーズに再録されたケースもあります。また、後期博士課程在学中には、非常勤講師として教歴を身に付けてもらうようにしています。ほとんどの場合、学位取得後は大学の常勤教員として就職します。
 現在学内で進んでいる大学院生を交えた研究プロジェクトには、西洋中世写本や初期刊本を対象として書物研究のための新たなデジタル研究環境を構築するプロジェクト、慶應義塾図書館所蔵の初期刊本をデータベース化するプロジェクト、ハーマン・メルヴィルの『白鯨』を図書館所蔵の初版から徹底再検証する共同研究プロジェクトなどが含まれています。
 学位請求論文の概要や専任教員の研究内容については、ホームページで紹介されています。

独文学専攻

 独文学専攻が研究対象としているのは、ドイツ語圏の広義の文化です。時代は中世から現代まで、内容はドイツ語学理論、文学理論、文化理論、テクスト講読、口語・文語表現演習、中世文化研究などで、カリキュラムが構成されています。伝統的な研究法から最新の研究動向にいたるまで柔軟に目配りしつつ、優れた研究者を育成し、高度な専門知識を身に付けた人材を社会へ送り出すことを目指しています。
 修士課程においては、徹底的にドイツ語と学問的思考法の習熟を目指します。文学系、文化系、言語学系、哲学・思想系の各テクストの読解と討論、学問的議論のための実践的な口語演習、修士論文作成のためのドイツ語による論文執筆訓練などを課しています。また、少人数のクラスでは教員と学生の間で密度の高い授業が行われます。後期博士課程においては、主に博士論文執筆のための授業が行われ、指導教授による指導と並行して自主研究を進めることとなります。独創的な発想や発見を根底に据えた、個性的な博士論文の作成が期待されます。博士学位の取得に関しては、本専攻の定めた規定に準じて審査が行われるので、別途資料を請求していただきます。
 また、慶應義塾大学にはドイツ学術交流会(DAAD)の援助で独自の留学枠があり、毎年1名をドイツに派遣しています。ほかにもドイツ学術交流会の一般考査による留学や、ベルリン自由大学、ボン大学、ドレースデン工科大学、ザールブリュッケン大学、デュッセルドルフ大学、ジーゲン大学、ハレ大学などとの交換協定による留学生派遣を行っています。独文学専攻とドイツ主要大学との連携の強化により、絶好の留学環境にあると言えるでしょう。
 以上のように、本専攻では多岐にわたる研究分野、母語話者によるドイツ語能力の陶冶、少人数制による個別指導の徹底、ドイツの諸大学との連携強化と留学制度の整備などを柱に活動しています。学生の進路は、公務員や一般企業への就職のほか、研究者となる者も数多くいます。

仏文学専攻

 仏文学専攻の創設は、修士課程が1951(昭和26)年、博士課程が1953(昭和28)年ですから、すでに60年以上の歴史と伝統を有することになります。現在では、フランス人の訪問准教授を含め、常時8名前後の教員が講義と論文指導に当たっています。
 担当教員の専門は、近世から現代、さらには言語学まで、幅広い分野にわたり、学生の多様な関心や要求に的確に対応できる態勢が整っています。特に修士課程のカリキュラムには独自の工夫があり、学生にはすべての設置科目を履修するように指導しています。その結果、指導教員以外の教員からも、満遍なく多彩な学問と知識を吸収することができます。偏狭な専門研究のタコツボに閉じこもることなく、常に開かれた視野でフランス文学に接する態度が培われること、それが本専攻の大きな特色の一つになっているのです。各分野の専門家による演習と研究指導は、少人数の学生を対象とするだけに密度が濃く、研究者として欠かせない知識と方法を学ぶことができることでしょう。
 教員全員がフランス留学を何度も経験し、博士号を取得していることもあり、特に後期博士課程の学生には留学を積極的に勧めています。これまでに、エコール・ノルマル・シュペリウール、パリ第3大学、ニース大学、トゥルーズ大学などとの交換留学生や、フランス政府給費留学生を多数送り出しています。また、このような本格的な研究活動に必要なフランス語の運用能力を育成するために、フランス人教員による徹底したプレゼンテーションの訓練や作文指導も行われています。教員と学生の関係は、フランス風のさらりとした個人主義と、慶應義塾独自の着流し風が調和した独自のものとなっています。
 仏文学専攻の修了生には、本塾をはじめさまざまな大学でフランス語・フランス文学を担当する教員になっている者が多く、加えて、文壇や詩壇などで、永井荷風以来のいわゆる三田派の伝統に連なる執筆活動を展開する小説家、詩人、批評家も少なくありません。

図書館・情報学専攻

 1967昭和42年に設置された図書館・情報学専攻は、情報システム、情報メディア、情報検索を研究の三つの柱としています。
 情報システムは、組織の問題も含めた広い概念で、その方法的対象として図書館を扱います。図書館は資料を収集、組織化、保存、提供する機能を持ち、それぞれに経営や技術上の課題があるとともに、書誌コントロールや情報サービスなどの観点からも捉えることができます。また、法制度や経済学的アプローチなどから見た図書館も課題となります。情報メディアは、欧米の情報学の中で発展した学術コミュニケーション研究と計量書誌学に加え、学術情報システムの問題を含めた独自の研究領域を持っています。最近は、メディア研究の観点からの取り組みや組織やウェブにおける人々の行動を理解し、メディアを含めた知識の共有・創造・蓄積、情報サービスのデザインを考える研究も行われています。情報検索は、情報検索理論から情報組織化、データベース、情報検索システムまで、検索技術に特化した工学系のアプローチとは異なる全体的な観点から研究課題を扱います。レレバンスや索引手法、検索評価、自動分類などの研究課題で成果をあげています。
 さらに、図書館のレファレンスサービスと情報メディアの利用者研究、それに情報検索が関わる情報探索行動研究、あるいは、図書館や情報メディアの隣接領域である書誌学や出版、メディア論やメディア研究などの課題に取り組むことも可能です。
 修士課程入学試験の一次試験科目は、専門科目(図書館・情報学)と英語の2科目で、司書資格は必要ありません。修了後は、国立国会図書館や大学図書館などへの就職、後期博士課程への進学が多数を占めます。後期博士課程では、学位の取得を目的とした論文作成指導が中心となります。査読のある学会誌に論文を発表した後、学位論文検討会で発表を積み重ねることを通じて、学位論文を完成させるように指導しています。また、2006(平成18)年4月からは後期博士課程の科目を夜間にも開講しています。夜間の科目のみを履修し、後期博士課程の単位を修得することも可能です。

情報資源管理分野

 社会の環境変化に伴い、図書館業務や情報サービスに従事する専門職のリカレント教育の必要性が高まっています。そこで2004(平成16)年、本専攻における教育の実績に基づき、社会的ニーズに応えるために情報資源管理分野を設けました。同分野は平成27年度文部科学省「職業実践力育成プログラム」に認定されました。
 本分野は、最新の情報技術や経営管理を中心に、資料組織や情報検索、学術情報流通、レファレンスサービスなどについての知識や技能を修得し、問題解決能力の向上を図ることを目的としています。学術論文の書き方に関する科目も開講しています。

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